役者・赤座伴番ことハルの日常

演劇軍団ユニットCongrazieの赤座伴番ことハルの公式ブログ

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小説

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アモンと名付けられた少年は黒猫に付き従うように歩く。まるで別人のように。(今は、完全に覚醒してもらっては困る。 いや、むしろこのままの方が好都合か・・・)黒猫はニヤリとしながら、アモンをチラッと見た。アモンは虚ろな目のまま、歩いている。「ここ…

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親父と名乗る、恰幅のいい王様の言葉を聞き俺は何故か信じる事にした。話の内容は突拍子もなく、凄くファンタジーな感じがする。同時に、何とも言えない真実味があり。納得出来る何かがあった。そして、俺の本当の名前を聞いた。アルス。それが俺の名前らし…

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「そういえば、お前の名前はなんだ?」「名前?そんなのどうでもいいだろ!聞いてどうすんだよ!?」少年は、前を歩く黒猫を睨みながら答えた。「便宜上の問題だ。お前、お前と呼ぶのも不便じゃろ。」「別に不便じゃないだろ!ったく、めんどくせぇ猫だな!…

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「まだ、頭がガンガンするな・・・くそ!」少年は、そう呟いて壁を叩いた。気を持ち直し、先ほど見た光の方へ歩いていく。「何なんだよ、一体。何がなんだが解らない。」1人ブツブツと言いながら歩く少年の前に突然、黒い猫が現れた。猫は、左右色の違う目を…

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王の間へ入った俺は、一瞬我を忘れた。お、親父・・・!?職務中の王様が、何故か親父と重なって見えた。「どうしたんですか?」エリスの声に、俺は我に返った。いや、なんでもない!部屋の隅にある椅子に腰掛けて、王様が落ち着くまで待った。「いやぁ、待…

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だから、体が痛いのか。エリスの話を聞き、半笑で納得した俺。しかし、まだ疑問はある。俺のことを息子と呼んだ、大きい王様は誰なんだ?本当に俺の父親なのか?もしそうだとして、何で今まで黙ってた?「もしもーし!おーい!」耳元で叫ばれ、思考は途絶え…

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「壊せ・・・全てを・・・奪え・・・その手で・・・」白黒の世界の中で、少年は声を聞いた。何か黒く恐ろしい物に見られてる。そんな気配を感じていた。「誰だ??てか、なんで白黒??」誰も応える気配がない。ふと、前を見ると女の子と少年が、光に包まれ…

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「起きて・・・さぁ・・・」 誰?「貴方は、行か・・・い。早く・・・」 え?行くって?ねぇ? 待って!!!!!!と叫びながら俺は目を覚ました。 ここは??・・・痛っ!肋骨のあたりが痛んだ。周りを見渡してみたが、一面真っ白の壁。ベッドの横には、花…

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扉を開き、意気込んで入る。パパーン突然のクラッカー。そしてファンファーレ。 うわぁ!こ、こんな所で殺られるとは・・・「何、やってるですか?」キョトンとしてるエリスに聞かれ、我にかえる。つい、癖というか条件反射というか・・・と言い訳を考えてる…

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門をくぐり、どれくらい歩いただろうか。エリスの様子を伺いながら俺はまた、周りを見渡していた。天井は突き抜けるように高く、等間隔の窓がついている。壁や柱には彫刻が施されている。テレビや写真などで見る中世のお城みたいな感じだ。柱と柱の間には所…

7

「ここです!!」 高らかと言う彼女の声を聞き、俺は視線を上にした。 すげぇ・・・そこには、堂々とそびえ立つ城があった。そのスケールに圧倒され呆然としていると 重々しい音とともに、門が開いた。「さぁさぁ!王様がお待ちですよ!!早く入りましょ!!…

6

先を急ぐエリスについて行きながら、俺は周りを観察してみた。公園は、元いた世界と大差はなかったのだが、街並みはずいぶんと違っていた。空を覆うビルは一つもなく、煙を出す煙突もない。道は舗装されてない砂利道。草木が茂り、花が咲いている。もちろん…

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特に変わった事もないさっきと同じ光景に、俺は更に困惑する ・・・・怪訝そうな顔の俺をよそに「はい!到着です!!」 とエリスは得意気に言った。 はぁ!?ここ、さっきの公園じゃないか!?「何、言ってるんですか?良く見てくださいよ!!さっきの場所と…

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なかなか納得しない俺に、エリスは困った顔をした。 いや、困ってるの俺なんだけど・・・そう思っていると、エリスが何かを閃いたようにポンと手を鳴らした。 「そうだ!!一度、私の世界に来てください!!!それなら納得できますよね!?」 いやいやいやい…

3

「早く!早く!」 俺の腕を引っ張りながら急かす謎の少女。 何なんだよ??あんた誰だ??何でみんな、止まってんだよ!?捲し立てる俺に、慌てて答える少女。 「あわわわ!せ、説明しないと・・・。え、えっとですね・・・」少女の話を要約すると、 彼女の…

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俺は、いつもの様に近所の公園へ散歩に出かけた。ボールを追いかける少年。ママゴトをする少女。井戸端会議をするママさん。ごくごく普通の毎日の風景。そこへ・・・空から突然、こいつが落ちてきた。「痛たたた・・・あ、やっとみつけた!!」うわ!何だよ…

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その日は、ただただ暑いだけの一日。・・・そうなるはずだった。こいつと出逢うまでは。 ・・・・ その時は、これが運命なんて思ってもいなかった。 それ程ありふれて、当たり前の偶然だった。 ※そのうち続く←